生まれた時、太陽が出ているか出ていないかで、その後の人生が分かれる。
夜に産まれた赤ん坊は、その場で国に引き取られる。彼らには兵役義務が課せられ—夜になると街を襲う死獣と戦う危険な仕事「夜勤」の兵士として、国に育てられるのだ。
夜生まれの十六歳、滝本一琉もその一人。日が落ち、新宿区が銀色のシェルターに覆われる頃、死獣はどこからともなく現れる。一琉たち夜勤は、八九式小銃と、高度文明期の遺物である太陽光線銃を手に、今夜も戦闘を開始する。平和で恵まれた昼生まれの街を守る為に—。
主人公。夜生まれであることにひどくコンプレックスを抱き、昼生まれを妬んでいる。ふつふつと湧き上がる怒りを抑え込み、諦めた気持ちで夜勤の業務をこなす日々を送っている。
突如一琉の前に現れた謎の少女。記憶を失っている。
一班のメンバー。責任感が強く、面倒見の良い委員長。昼生まれでありながら夜勤兵として生きることを選んでいる。また、広く信奉者を持つ「夜勤会」の司祭もやっている。
一班のメンバー。口数少なく真面目でいつも冷静沈着な優等生。委員長（寺本和美）のことを心から慕っている。夜勤会の信者。
一班のメンバー。ふざけた発言ばかりの、一班のムードメーカー。銃と戦闘をこよなく愛する。軽薄そうに見えるが、物事を深く見ている一面もある。
一班のメンバー。家族みんなが夜生まれの、夜勤のサラブレット。男子顔負けの怪力を持つ、高身長おしゃれ女子。あたたかく、優しい性格。
一班のメンバー。ひょうきん者で、彼の周りはいつも笑いが絶えない。暗くなりがちな夜勤の世界において、貴重な存在。
一琉の叔父。夜生まれだが、昼の街で働いている。昼の連中相手にいろいろと嗅ぎ回っている。一琉とは「鬼怒屋」でよく飲む間柄。
太陽が出ている間に産まれた者のことを指す。昼に死獣は出現しないため、平和な暮らしをしている。小・中・高、大学に進学し、就職して文化的な仕事に就くことがほとんどである。
死獣を殲滅することができる唯一の兵器。太陽光をほぼ百パーセント再現している。かつて滅んだ文明最盛期の遺産であり、製造法は今となっては不明である。
昔からこの国にある宗教の一つ。夜に産まれてしまった者たちの心のよりどころとなっている。一班の委員長こと寺本和美も司祭として祭壇に立ち、地域で活動を行っている。棟方法子も信徒である。
滝本一琉が佐伯良二とよく飲みにいく夜の世界にある居酒屋。夜生まれは日光に弱いため、日が昇って帰れない人のための標準的な簡易宿泊施設も備えている。
太陽が出ていない間に産まれた者のことを指す。夜に産まれると、即座に国に引き取られ、兵役義務が課せられる。夜に街を襲う死獣と戦う「夜勤」の兵士として育てられることとなる。
夜勤兵に太陽光線銃と共に貸与される小銃。死獣に太陽光線銃を照射するために、先に八九式小銃でダメージを与えて弱らせる。三発制限点射機構付きだが、その点はあまり活用されていない。
夜になるとどこからともなくぬらりと現れて、人間を喰らうため街を破壊する危険な怪物。大きさと凶暴性によりⅠ型～Ⅲ型に大別される。自然物、人工物、生物、死骸が寄せ集まるようにして生成され、毎日駆逐しなければ夜ごとに数が増していく。
夜勤兵として使い物にならなくなった者が流れつくスラム街。無法地帯であり、性風俗、薬、また国の認可しないありとあらゆるものの入手先でもある。
